平成29年7月に和歌山方面に出かけた際に訪問した和歌山市立博物館について投稿します。特別展がなかなかよかったです。
和歌山市から徒歩5分ほどのところにあります。図書館や市民ホールのあるあたりのいかにもという建物です。
特別展が開催中で入場料は400円、通常は100円なのでどうしたものかと思いましたが特別展がよかったので納得のお値段でした。
常設展
まずは一回の常設展から、和歌山市くらいの博物館となると古代から現代までの総花的な内容でそれほど見るべきものはないという印象でした。予想はしていましたがあまりに予想通りか。気になった情報を箇条書きにします。
御三家紀州徳川家である理由
今の地名でいうところの名古屋や静岡といった徳川家にゆかりのありそうにない和歌山という土地に徳川家康の十男が封じられて御三家と称されたのは疑問ではありました。博物館の解説では、浚渫技術が未熟な中世では大阪の周辺に大きな港は作れず和歌山は海路での関西への玄関口として重要な位置であったとのことです。ちなみに堺の博物館でも同様の記述がありました。江戸時代では国内7番目の大きさの都市であったそうです。
B29のラジエター
昭和20年の7月にB29約100機の空襲を受けており墜落したB29のラジエターが展示されていました。といってもB29のエンジンは空冷だしなにを冷やすラジエターなの?と極めて本質的でないことを考えていました。あれだけの飛行機ですからオイルなりなにかを冷やすラジエターはあったんでしょうけどね。
夏季特別展
パッとしなかった常設展を見終わり徒労だったかなーと思って2階に上りましたが、「美尽し善極める/駿河屋の菓子木型」と称するこの特別展はなかなか見応えがありました。
紀州藩主は代々茶道を重要視してそこからお菓子の文化が栄えたとのこと。もともとは京都の菓子商であった駿河屋は初代藩主頼宜が紀州に移る際に「召し連れ」られたそうです。その後も藩主より菓子の御用を引き受け「美尽し善極めたる前後無比の良品」と絶賛されていたとか。二年ほど前にこの駿河屋から木型を受け入れ、今回の特別展の開催につながったそうです。
こちらが唯一撮影可能だった再現した落雁です。これは食べるのがもったいない。このほかきれいな絵手本や木型の展示もありましたが、菓子を通しての江戸時代の文化の解説展示が特に興味深かったです。やはり総花的な展示物よりもこのような昔の人の息遣いが聞こえるようなものが面白いですね。