山形で二泊した後は定宿の岩手花巻大沢温泉で四泊しました。二ヶ月に一回くらいのペースで泊まっているのでトピックスだけ記します。
昨年の夏休みは六泊してのんびりし尽くしたのですが、もったいない気もしました。それで今年は四泊しています。
ただし、どこにも出かけなかったのは一日だけで、できるだけ出かけるようにしました。
ひっつみ定食プラン
今回は素泊まりでなく、夕食としてひっつみ定食が付いたプランにしました。食堂の「やはぎ」で指定した時間に頂きます。もちろん四泊ずっとひっつみ定食ではなく、二泊目以降はおまかせ定食になります。
まずは一泊目のひっつみ定食。冬場に食べると温まり特にありがたく頂けるのですが、夏場でも充分美味しいです。出汁のおいしさを表現できないのですが、ひっつみ以外の具も楽しめます。
二泊目はチキンおろしカツ。ここでチキンカツを食べたのは初めてですが、肉厚で柔らかく、大根おろしとよく合います。メニューにはチキンカツ定食というのがあるのですが、普通にソースで食べるものなので特別メニューのようです。左奥のイチジクが絶妙に甘くて美味しかった。翌日は何が出るのだろうと楽しみになりました。
三泊目は衝撃。いかにもそれっぽい容器ででてきたのでまさかウナギ?と思ったらその通りでした。メニューにウナギなんて見たことなかったし隠しメニューか?ずっとウナギを食べたいと思っていたので、ちょっと興奮してしまいました。抜群に柔らかくてフカフカ。ご飯にのせて食べてこれは幸せ。東京で出したら4000円くらいのメニューではないか?
四日目も同じ容器で出てきたのであれ?と思ったのですが、なかみはカツとじでした。カツ丼は一度食べたことがあるのですが、安定のおいしさです。
ひっつみ定食プランいいですね。お任せ定食になる二日目以降は今日はなんだろう?と楽しみになります。また連泊時には利用したいと思いました。
宮沢賢治記念館と花巻市博物館
滞在初日は花巻にでて資料館二つを巡りました。送迎バスで新花巻駅まで出て、タクシーで宮沢賢治記念館に向かいます。バスもあるのですが、バス停から記念館まで急坂を登らねばなりません。酷暑のこの日では厳しいのですが、タクシーなら記念館までの前まで連れていってくれます。
11時過ぎだったのでまずは以前から気になっていた「注文の多い料理店:山猫軒」でランチ。少しでも特別なものがいいので「白金豚のカツ丼」にしました。
カツ丼も普通に美味しかったですが、副菜が好物のフキで嬉しい。
そして、宮沢賢治記念館に入館します。たしか3回目ではないかと思います。
最初に行ったのは20年以上前。その時は数名の友達と行ったのですがその中に美大卒の人がいてここはキュレーションが非常によいとコメントしていました。素人目にみても展示がわかりやすいという印象が残っています。
一つの童話を取り上げてジオラマやアニメなどで解説するコーナーがあり前回、前々回も強く印象に残っていたのですが、今回の「なめとこ山の熊」もとてもよかったです。
アニメで導入部分が語られ、その後解説を読めとの構成ですが、かなり惹きつけられました。熊と話すことができて、撃ちたくはないといいつつも仕方なく猟師を続けている「小十郎」が主人公です。街で熊の皮を売るシーンでは、熊の皮を商人に買いたたかれたりして、資本主義社会の搾取性なども匂わせています。「注文の多い料理店」もそうしたシニカルな面を併せ持つと思うのですが、そこら辺が宮沢賢治の魅力ではなかろうかと思います。花巻に来るたびに宮沢賢治の童話などもっと読もうと思うのですがまるで実行に移せません。今度こそはという気持ちにまたなっています。
続いて、花巻市博物館に歩いて行きます。暑いですが下り坂なので楽なものです。
常設展は流す程度でしたが、花巻電鉄在りし日の、花巻駅周辺のジオラマは何度見ても楽しい。
横で開催されていたテーマ展「戦後80年戦争と花巻」も見学しました。花巻空襲くらいがメインの小規模なものと想定していたのですが、満州事変くらいから終戦までのたくさんの資料の展示があるしっかりした内容でした。
とはいえ目をひいたのは花巻空襲の展示。B29の航続距離内にはなく艦載機22機によるもの。それでも街のかなりの範囲が焼失して宮沢賢治の生家も焼けてしまったそう。また戦闘機の機銃掃射で列車が穴だらけにされたとのこと。
「戦時繊維ヲ集メマセウ」のポスター。内容はともかく構成がよくてなんか気になる…
小一時間まてばバスもあるのですが、その後の待ち時間も長くなるので、新花巻駅まで歩きました。ここから釜石線で花巻に戻り、路線バスで宿へ。この日も暑くてかなり汗をかきました。持病のめまいが酷くなったので熱中症寸前だったかも知れません。すこしムリをしてしまったかも。
酷暑の自炊部
この時期の東北は非常に暑くて、一日滞在していた日の予想最高気温は36℃でした。自炊部の部屋はこの気温は想定されておらず、エアコンもありません。しかも、今回の部屋は風通しが悪く、32℃くらいまでなら耐えられそうですがここまであがるとさすがにしんどい。宿の方にもムリしないでエアコンのある休憩所などで過ごしてくださいと言って頂けました。
午前中に少し寝たのですが、30℃にもなっていなかったはずなのに、まためまいが酷くなりました。以前自宅でもこんなことがあったのですがどうしたものか?
昼食の天ざる。大沢温泉に来たら一度はそばを食べねばなりませんね。ちなみにそばは更科と田舎とえらべるのですが、つねに田舎そばを選びます。冷房が効いていたので空いていたので食べ終わってからもしばらく休ませてもらいました。
涼しいところは他にも旅館部のお風呂の前や、エアコンのよく効いたところで一時間マッサージをしてもらったしてあまり部屋にいないようにして過ごしました。夕方には回復しましたがこの時期の自炊部滞在は気をつけねばなりません。
盛岡てがみ館
滞在最後の日は、レンタカーを借りる必要があり盛岡に向かいます。送迎バスと電車を乗り継いで昼前に盛岡に到着。
宿に戻る前に寄ったのが「盛岡てがみ館」。企画展示メインの「手紙」がテーマの資料館です。この夏の企画は「米内光政の手紙」
戦前の総理大臣で終戦や戦後処理に尽力した海軍軍人で、今となっては正しく名前を読める人は少ないのかも知れません。この人の働きがなければ8/15に終戦にならなかったかも知れず尊敬する歴史上に人物と問われれば真っ先に挙げると思います。
昭和天皇の信頼の厚かった人で、親交のあった慶應義塾長の小泉信三さんが亡くなった後に思い出を雑誌に寄稿したのを読んで「小泉、雑誌に米内のことを書いたね」「あれを読んで米内が懐かしくなった」「惜しい人だった」と語ったというエピソードがあります。今回の展示で、小泉信三さんから、ご子息の米内剛政さんに宛てた手紙に記されていたことを知りました。ネット上の記事を読むのに比してとても実感が湧きました。
盛岡で借りたレンタカーはフィット。山道をたくさん走ったのですが、なかなかいい走りで気に入りました。
こんな感じで四泊の大沢温泉滞在が過ぎていきました。会社の福利厚生プランの補助金もあるのでコスパも最高で一週間の休みであれば四泊くらいが適切ではないかと思います。
ここまでの行程については上記リンクからご覧ください。