先日は山形・宮城の湯めぐりを楽しみました。普通の週末というのに三泊もしましたのでなんとなく背徳感があります。
まずは早めに退社して、17時発の「つばさ」でかみのやま温泉に向かいます。夕食はカレーのチェーン店ですませて、お茶やおやつを仕込んで東京駅へ。休みを取らずにその日のうちに山形の温泉宿に着けるのですから、新幹線ってホントに速いと思います。
とっぷり日の暮れたかみのやま温泉駅には19時半頃つきました。チェックインは20時まででギリギリです。
□かみのやま温泉の公衆浴場
かみのやま温泉にはいくつもの公衆浴場があり是非行ってみたいと思っていました。夕食も終わっているので遅い時間ではありますが、行こうと思います。近くのところと思ってなにげなくフロントの女性に聞いてみると「絶対ここがお勧めです!」と老舗の公衆浴場を案内されました。テレビなどで紹介されるのは必ずここだというのですが徒歩10分ほどでちょっと遠い…ですが、そこまで言われたら行くしかありません。
そんなわけで行ったのがこの「下大湯公衆浴場」。江戸時代初期に上山藩主が設営しのが発端という由緒ある公衆浴場です。値段は150円と格安。お湯を沸かす費用などはかからないでしょうが、そんなに安くてもやっていけるのですね。
印象しては子供のころ時々行った銭湯のよう。ぬるめと熱めの二つの浴槽があります。熱めはかなり熱くて無理な人には無理なくらいの温度でした。4,5人の先客がいましたが、基本地元の常連さん。皆さん顔見知りで入るとき出るときに挨拶をしていました。あとでクチコミを見ると、うかつなことをすると怒られるのだそうです。
座っているだけとはいえ新幹線に二時間以上乗った後でしんどいかったですが、途中上山城のライトアップが綺麗だったり、日没後でだいぶ涼しくなったので気持ちのいい夜の散歩になりました。
□「攻め」の姿勢目立つステイインホテル材木栄屋に宿泊
宿泊した「ステイインホテル材木栄屋」は二回目。普通の温泉旅館からビジネス向けのシングルルームへの改修、増築したりで、「攻め」の姿勢を感じます。
一番安いシングルルームは満室で、泊ったのはちょっと広い3階のセミダブルシングルルームです。部屋にはトイレはありますがシャワーもなくお風呂は大浴場を使うことになります。
お風呂に関しても「攻め」の姿勢が見られます。従来からの「黄金の湯」、「吉の湯」には今年になってサウナを増設。そして新しく「鶴の湯」というお風呂を新設しました。
こちらが新しい「鶴の湯」。特に撮影禁止とは書いていないので誰もいないときに写真を撮ってしまいました。内湯も新しくて気持ちいい。源泉は共通でpH7.6のナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉で源泉温度は65℃でやけどするから湯口を触るなと書いてあります。
逆側を向いてこちらは露天風呂。建物の谷間にあるのですが妙に落ち着いて一番気に入りました。お湯の出口には温泉成分の白い結晶が堆積していて、きっと舐めたらしょっぱいのでしょうが、舐める勇気はありませんでした。
公衆浴場にまででかけので、宿の温泉は21時スタートとなり、お風呂が夜23時までというのは少し残念。複数のお風呂入るのに忙しかったです。この日の夜は「吉の湯」と「鶴の湯」が男湯、「黄金の湯」は女湯で、夜中に入れ替えです。翌朝含めてすべてのお風呂に入らさせていただきました。
今回は朝食付き。出発は8時過ぎなので開始すぐの6時半に頂きました。バイキングを予想していたのですが、ごはん、みそ汁、玉こんにゃく、サラダ以外はセットされていました。素泊まりで適当にコンビニ食とすると栄養が偏るので単身赴任の身としてはありがたいです。玉こんにゃくは山形名物でおいしかった。
□山形街歩き
宿を出て、少し余裕をもって20分くらい前にかみのやま温泉駅に着きました。ところがあろうことか、発車10分前にPCの充電器を宿に忘れたことに気づきました。徒歩10分かかるので、走ってもだめ。その電車を逃すとその9分後の新幹線かさらにそれに乗れないと一時間以上電車は来ません。すぐ決断してタクシーに乗りました。さすがに車は速い。宿の人に話して部屋まで駆け上がって戻ると発車2分前。タクシー代1,130円は安いもので、出血は最小限に抑えられたと思います。
無事いい時間に山形に到着して、重い荷物をロッカーに預けまず向かうのは山形城址の霞城公園へ。「かすみじょう」とばかりおもっていたのですが「かじょう」なのですね。一年少し前に山形に来た時はいくつかの資料館に行ったのですが、お城周辺まで行く余裕がなかったので今回は霞城公園にある二つの資料館に行こうと思います。
まずは山形市郷土館。明治の宮大工が洋風建築を真似た「擬洋風建築」の最高傑作と評されています。山形県立病院の本館である済生館として山形の近代化を図るとの意気込みのもと竣工したもの。初代山形県令の三島通庸の指示なわけですが、この人評価の難しい人ですよね。正直あまり好きではないです。土木県令とか鬼県令とかいわれて確かに近代化には尽くしたのですが、土地収用とか強制労働まがいの無茶苦茶をしています。
その後、山形市の複数の大火事でも残り、戦時は目立つからと最上階を解体されながらも、明治初期に建てられて「擬洋風建築」の唯一の建物とのこと。昭和の半ばには山形市としては解体の方針だったのですが、文化財としての査定を文化庁に依頼して、国指定重要文化財に指定されて霞城公園に移築された残りました。昭和42年に移築復元工事が始まったのですが、一部は失われ図面があるわけでもなくかなりの困難な作業のうえ復元されたそう。この経緯は興味深いです。古くても素晴らしい建物は残すべきですよね。
中の展示も面白く、明治からの洋風建築の系図など勉強になります。いままで見てきた建物もたくさんありました。さらに明治初期からの医療用の数々は圧巻。古い透析器が展示されていて、こんなんで透析できるのか…と思ってしまった。
続いて訪れたのがすぐ近くの山形県立博物館。県立の博物館はというと総花的である程度は流すつもりで入館しました。
ところが「森林の科学」という展示で自分でも意外なほど熱心に見入ってしまった。松川温泉の朝の散歩で木々の話を聞いて興味がわいてきたからでしょうか?
プライム企画展と銘打った「さくらんぼ~山形県民、挑戦の結実~」はプライムだけにこれは面白かった。大正の初めから16年もかけてできた「佐藤錦」の佐藤栄助さんの努力がしのばれます。この品種が開発されるまでは生食できるさくらんぼはすぐ腐ってしまってまともに流通しなかったのだそうです。今のように美味しくいただけるようになったのは本当にありがたいことです。
さくらんぼがらみで他にもいろいろ展示を見て楽しみましたが、よかったのがこれ。絵入りナンバープレートってあまりいいデザインのものって浮かばないのですがこれはかわいい。
博物館を出たあとは二の丸門近くにある有名な最上義明像のあたりを経由して山形駅へ。二時間くらいでぐるっと一周街歩きを楽しめました。この日も酷暑でしたが午前中でしたからまだマシだったか。
山形での最後の目的は夏休みの湯治旅で食べ逃した「冷やしラーメン」。駅から近くていいところを調べて「山形五十番飯店」に開店直後の11時を狙っていきました。念願の冷やしラーメンがこちら。これはおいしかったです。10年ほど前にたべたときは、普通に美味しいとおもっていたくらいですが、ここの冷やしラーメンは迷わずお勧めしたい。盛岡のじゃじゃ麺でも横手の焼きそばでもそう思ったのですが、地元でも高く評価される混んでる店で食べないとダメですね。
この後は山形駅から新庄を経由して鳴子温泉に向かいます。長くなりましたので追って投稿します。