平成30年夏の一人旅の際に訪問したえさし郷土文化館について投稿します。常設展も企画展も非常に興味深くて行った甲斐がありました。
この資料館は細長い作りです。この画像の主に映っているあたりが農業紹介ホールで「江刺金札米」を中心とした展示があります。ササニシキやヒトメボレといった品種の素となった非常に美味しいお米だそうです。最近、斗南藩の本などを読んでいるので、同じ東北北部でも作物の育たない地域に暮らす人々の苦労と対照的な話で複雑な思いではあります。
さらにその先の「奥の院」には三十三観音などが展示されていますが、こちらはあまり興味がないので流しました。
そしてこちらがお目当ての企画展「もののふたちの近代史-幕末・明治の諸相と文化-」の入り口です。
江刺は仙台藩の北限で南部藩と接していたこと、太平洋側で幕末期の外国船の来航などの事情から戊辰戦争時やもろもろ厳しい状況に置かれていたようです。
その他、あれもこれも非常に面白かったのですが、例えばこちらが幕末期の外国船の絵。このころの通信手段は唯一描き移すことのみですから、このような絵と、こういった船が現れたらどうこう対応せよとの文章で連絡するしかないということでしょう。こういった展示を見ないと200年以上前の実際は体感できないように思います。
感心したのは、サムライから軍隊へ、兵役が農村に与えた影響などの考察が非常にしっかりしていて、誰がこの文章を書いたのか館員さんに聞きたくなったのですが、結局聞けづじまいでした。館長さんが講演などもできるようなのでその人なのでしょうか。また諸々江刺の人々からの目線でコメントがされています。こういうの大事だと思います。
さらに入り口近くにあったミニ企画の「幽霊・化け物・妖怪画点」北上で鬼の資料館があったのですが、この地域はそういう類がお盛んなのかな?
花巻市博物館が古代からの歴史に沿った総花的なものであったのに対し、こちらは農業と仏教美術などにフォーカスされています。自分としては後者のようなところがいろいろ深く知ることができるので好みなのですが、地域の教育機能といった観点もあるでしょうからどちらがいいとは言えないのでしょうね。